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ベンチャーのための賃貸オフィス大全

多重債務を見極める

異議をとどめない承諾とは?
どなたかよろしくお願いいたします。
債権が弁済により消滅した後に譲渡された場合、債務者が異議をとどめない承諾をしたときでも、当該債権を被保全債権とする債務者所有の不動産上の抵当権は復活しないという選択肢があり、この選択肢が間違いであることは理解できます。
しかし、①弁済により消滅した債権がなぜ譲渡できるのか?
②弁済したにもかかわらず異議をとどめない承諾をするってどんな状況なんだ?
③復活した抵当権の名義は誰?
という疑問があるのです。
①と②に関しては、多重債務者がどこにどれだけ借りて、どこにどれだけ弁済したかがわからないまま異議をとどめない承諾をしたという間抜けな話なのかなあと考えてますが、そうではない気が大いにするのでお伺いしたいです。
③に関しては、弁済により消滅した債権とともに抵当権も消滅するが、債権を譲渡し、それについて異議をとどめない承諾をしてしまえば抵当権も復活します。
この場合、債権者A、債務者兼抵当権設定者B、債権譲受人Cとすると、最初の抵当権に関しては、抵当権者はAです。
この登記をしていたにもかかわらず、Bが弁済とともに抵当権の登記を抹消してなかったとすると、異議をとどめない承諾によって債権とともに抵当権もCに移ると考えます。
しかし、抵当権の登記は実態と合致していません。
この場合、AからCへの移転登記をするのですか?
しかし、弁済によって一度消滅しているのであるから、抹消して新たにCを抵当権者とする設定登記を入れるのでしょうか?
よろしくお願いいたします。
(1)「弁済により消滅した債権がなぜ譲渡できるのか・・・」●債権者としては、真実消滅している債権でも、「消滅しているということを隠して」その債権を譲渡するという状況はあり得ることで、それに対して債務者がどのような対応(意義を留めずに承諾したり・・・)をするかによって、その譲受人を保護する必要が出てくるということです。
(2)「異議をとどめない承諾をするってどんな・・・」たとえば、 1.AがBから「1月1日」に土地を買い受け、「2月1日」にその移転登記を経由した。
2.一方、Bの債権者であるCが、その債権を担保するために「1月15日」にその土地に抵当権を設定した。
3.A、B、C間で「2月15日」、「AがCにその抵当権の被担保債権を支払う」さらに、「その支払いはBに対する売買代金に充てる」協議をし、実際に支払った。
4.が、その翌日Dが、CのBに対する債権を譲り受け、Bは異議を留めずに承諾した。
5.Dは抵当権移転の付記登記を経由した。
(最判平4.11.6)この判例は、Aに代位弁済してもらったBが、勝手に承諾したというものです。
(3)「AからCへの移転登記をするのですか・・・」●登記の流用の可否→「肯定説」が通説のようです。
他の事例を見ても、債権の譲受人としては「抵当権付きの債権」を譲り受けているという認識なので、債務者が異議を留めずに承諾するたびに抵当権の移転登記を経由しているのが通常で、後になってから債務者が「債務は既に消滅しているからこの抵当権も無効だ」などと主張することで争いが生じているようです(大決昭8.8.18)。
※設定者が物上保証人の場合は復活しない。
※異議を留めない承諾前に抵当不動産を取得した者に対する関係では、復活しない。
(4)補足について○説明が足らなくてすみません。
[大決昭8.8.18]についてもう少し詳しく書きます。
①AはB銀行から6万円借り受けた。
②その担保としてAの有する採掘権に抵当権を設定した。
③Aは、債務のうち3万円だけB銀行に弁済した。
④その後、残債権3万円と抵当権はB→C→Dに順次譲渡された。
⑤Aは、Dに残債務を完済した。
⑥ところがDが、残債権は存続するものとして抵当権とともにEに譲渡し、その後E→F→G→Hと順次譲渡され、また抵当権の移転登記を経ている。
⑦各譲渡につき、Aは異議を留めずに承諾している。
⑧その後、AはIに当該採掘権を譲渡。
⑨Hが抵当権の実行をしたのでAが異議を申し立てた。
その結果、Aの異議を留めない承諾によってHとの関係では残債権は法律上消滅せずにHに移転したとみなされ、抵当権もこれに付随してHに有効に移転したと解するのが相当である、という内容になっています。
●登記の流用について・登記のもっとも重要な機能は現実の実体関係を公示することにあるので、現在の権利状態に合致している限り、流用を認めても不都合はないと考えられているようです。
・確かにこの場合Aは、別段異議を留めることもなく債権譲渡に承諾を与えてきたわけだから、それによってこれらの取引に係わった人間達の信頼を保護するのは当然で、原則としてD→Eの債権譲渡に異議を留めずに承諾した段階で債権も抵当権も復活しているわけだから、その後有効と信じて抵当権の移転登記を経たものがいるとすれば、それは現在の権利関係に合致しているわけだから、その登記を流用しても別段債務者に不測の損害を与えるわけではないといえます。
自らこのような結果を招いておきながら、抵当権を一旦外して、債務者にその負担のない採掘権をたとえ一時的でも与える必要性もないし、抵当権者の側にそのような負担を強いるべきではないということだと思います。